これから飲食店を開業したいと考えている人向けの記事です。
私自身が、約2年間オーナー店長としてお店を経営して、わかった事を記事にしていますので、参考にしてみてください。
目次
参入障壁の低さで市場が飽和
飲食業界は新規開業後3年で、約70%が閉店すると言われています。
その最大の理由が、誰でも簡単に飲食店を開業できる点にあります。
まず飲食店を開業するには、保健所の許可、そして1日の講習で貰える食品衛生責任者の資格があればOKです。
この2つさえあれば、とりあえずお店をオープンさせることは出来ます。
なので言い方は悪いですが、誰でも簡単に飲食店を開業出来てしまうのです。
これが原因で、需要(求める者)の対して供給(与える者)が多くなり、お客の奪いが起こり続けています。
結果、お客を集め続けることが難しく、閉店に追い込まれてしまうのです。
甘い売上予測と経営計画で6カ月で閉店
飲食店を開業する前に、誰もが売上予測をするのですが、この時点で大きな誤算があります。
それが、数字に対しての裏付け根拠がないのです。
「たぶん、この位の売上は出るだろう。」
「たぶん、人件費はこれ位で、収まるだろう。」
「たぶん、原価はこれ位で、良いだろう。」
こんな感じで、何の裏付け根拠もなく売上予測をし、それを元にお店の経営計画を作っています。
ですが、たたき台となる数字に根拠がないので、その後の経営計画など、デタラメでいい加減なモノが出来上がってしまうのです。
まぁ、考えたらこの流れって、なんとなく分かります。
お店をオープンする前は、無敵状態なので、全てを前向きに考えているものです。
「旨い食い物作ってたら、お客さんは必ず来てくれる。」
こんな幻想を抱いて、開業まで突き進み、そして甘い計画も重なって、あっ!と言う間にお店は傾き閉店していきます。
早い店だと、新規開業後6カ月後には、お店を閉店することになってしまいます。
詰めが甘い売上予測をもとに、経営計画を作るので、その後の経費、特に人件費で利益を圧迫され、さらに食材費の高騰で閉店に追い込まれるのです。
なので、お店をオープンさせる前の売上予測の数字には、根拠となる裏付けが必要になります。
もし根拠がないなら、かなりシビアな数字を予測しておく方がベストです。
人件費と家賃が利益を貪りとる
お店が6カ月も持たずに閉店する理由は、人件費と家賃の2つが大きく関係しています。
例えばこんなシミュレーションをしてみます。
売上:100万円
食材費(原価):40%
人件費:20万円
家賃:12万円
その他経費:10万円
翌月分の運転資金:5万円
利益:13万円
ザックリとして計算ですが、このシミュレーションだと利益は13万円残ります。
このシミュレーションの中で、特に大きな経費が人件費と家賃ですよね。
もし仮にこの人件費と家賃が0円になれば、利益は45万円になります。
家賃が0円にならなくても、人件費が0円になるだけでも、利益はかなり残ります。
実は、飲食店を長くやっていくには、この人件費と家賃を抑えることがポイントなのです。
そこを考えずにお店をオープンさせてしまうと、6カ月閉店コースに乗ってしまう可能性が高まります。
旨い食い物だから、リピーターがついて当たり前の幻想
今の世の中、どこの飲食店もそこそこ旨い食い物を提供しています。
逆にマズイ食い物を提供している店を、探すのが難しいくらいです。
にも関わらず、「うちの店の食い物は旨いから、お客がまた来てくれる。」は、完璧な幻想です。
もしその理屈が通るなら、新規開業した飲食店が3年で70%も潰れるとは思えません。
そうなんです。
旨いからお客がまた来てくれるのは、幻想であり、愚かな考えなのです。
だからこそ、お客さんをまたお店に引っ張てくる工夫が必要になります。
そこを考えないと、お店を長く続けていくのは難しそうです。
高齢化する日本で保守的な人が激増
人間誰しも歳を取ります。
そうなると、どうしても保守的になりやすい。
ココで保守的というのは、新しいモノに興味を示さなくなるということです。
例えば、新しい飲食店ができても、興味を示さないのです。
なぜなら、一日の流れがパターン化されていて、それを崩せないから。
例えば・・・
朝4時起床
6時朝食
7時自宅の庭いじり&仕事
12時自宅にある食べ物で昼食
13時~15時自宅でテレビ
16時近くのスーパーで買い物
17時晩ご飯
18時風呂
19時就寝
こんな感じで、パターン化された暮らしの中に、新しいモノを取り入れられなくなってくるのです。
今後、高齢化が進む日本では、飲食店に限らず、ありとあらゆる業種が、窮地に立たされることになるはずです。
これが、僕が考える新規開業した飲食店が、3年で70%くらい閉店する理由になります。