私はとあるフランチャイズシステム(FC)を利用して、お弁当屋を開業しました。
そこで体験して分かった事は、個人が飲食業だけには手を出してはいけないということです(笑)
なぜなら、この業界は儲かり難い上に、健康を悪くしやすいからです。
目次
甘い売上予測とモチベーションの低下
それではまず、儲かり難いということから説明していきます。
飲食店が儲かり難いといわれる原因はの1つに、創業計画段階での売上予測の甘さがあります。
その売上予測に対して、なんの裏付け根拠もないところが、そもそもの間違いです。
何の根拠もない数字をベースにして、原価、営業経費を計算して、最終的な損益を弾き出します。
ペーパー上は確かに黒字になるのですが、実際店を開けると、予想を下回る売上になることが多々あります。
と言うか、下回ることの方が高確率で起こります。
なぜなら飲食業は天気に左右されるし、天災にも影響をうけます。
それ以外にも、店の近くでイベント等あれば、お客さんはそちらへ流れていきます。
他には、給料日前で客足が鈍ることもあります。
そして何より大きな原因が、消費者の財布の口が堅いことです。
テレビやネットのニュースで景気回復の情報を観ても、それを実感できる人は少ないのが現実ではないでしょうか!?
なので基本的に倹約する人が多いです。
それに加えて、消費者がデフレマインドに慣れ切っていること。
仮にたった50円の値上げでも、消費者は敏感にその値上げに反応して客足が重たくなります。
スマホゲームのガチャで1万円、毎月のスマホ料金に1万円支払えても、いつもの飲食代金が+50円になる事は我慢できないのです。
これが多くの消費者が持っている、食に対するデフレマインド。
そのデフレマインドの根源は、多くの人が満足できる収入を得ていないからだと、私は考えています。
それに加えてライバル店の多さが、飲食店をさらに苦境へと追い込むのです。
こころ移ろいやすいお客には選択肢が一杯
飲食店は保健所の許可、そして食品衛生責任者の資格があれば誰でも開業できます。
なのでライバル店が嫌ってほど多い。
飲食店ではないけど、小売店のコンビニもたくさんありますよね。
なので消費者からしたら、どこで飲食をするか、もしくは購入するかの選択肢が多いのです。
だからどの飲食店、小売店もお客の奪いになって、売り上げが落ちやすくなってしまうのです。
さらにちょっとでも、「あの店、雰囲気が悪くなった。」、「あの店、値上げした。」となると、お客が波を引いていくようにサァーと消えてしまいます。
こころ移ろいやすいお客を呼び込むのは、本当に難しいのが現実です。
飲食店は現場のモチベーションが重要
あなたも一度は経験したことがあるかもしれないけど、空気が重たい飲食店に入ったことないですか!?
なぜかドーンと空気が重たいお店。
その原因を作っているのが、お客さんを接客するスタッフです。
そしてそのスタッフの覇気、笑顔を奪っているのがその店の店長なんです。
ではなぜ店長が、スタッフの笑顔を奪ってしまうのか!?
それは店長は売上に敏感だからです。
売上目標に達しないと、お店が赤字になってしまいます。
そんな月が続けば、店の行く末は誰が考えても同じです。
なので、売上が悪いと店長の顔から笑顔がなくなり、口数が減り、そして表情が険しい日々が続いてしまうのです。
そんな飲食店現場で、店長と一緒に働くスタッフはどんな気持ちか、想像しなくても簡単です。
「なんかぁ~、店長最近、顔こわくなぁ~い?」
「売上わるいみたいよ~。」
って感じで、働くスタッフにも悪いオーラが伝わり、働く人間すべての表情が険しくなっていくのです。
そして、その店で働くスタッフ全てのモチベーションが下がってきます。
そうなると、まさに負のスパイラルになり、お店の雰囲気が悪くなって、お客がさらに減ってしまうことになります。
・甘い売上予測
・ライバル店が多い
・モチベーションの低下
これが複雑に絡みあって、飲食店が3年以内に廃業に追い込まれてしまう原因の1つ目です。
[s_ad]店長の健康問題と人件費高騰
次に店長の健康問題、そして人件費について説明していきます。
まず店の売上をあげるには2つしか方法がありません。
・お客を増やす。
・原価を絞る。
この2つしかありません。
それでは、私が経営している飲食店(お弁当屋)を例にして考えていきましょう。
うちのお店では1個500円~800円の価格帯のお弁当を売って商売をしています。
そうなると、売上をあげる為には、多くのお弁当を売る必要があります。
つまり多くの客数をさばく必要があるのです。
多くの弁当を日々作っていると、店長の体力はドンドン削られていきます。
人の体力は無限にはないので、無理をすれば疲労も回復せず、疲れきってしまいます。
なので、どうしても他人の力を借りて商売をするしかありません。
しかし他人の力を使うということは、お金が発生するということです。
つまり人件費が発生するということ。
しかし、最近の人手不足の問題、さらには労働者の雇用環境の整備もあって、時給単価がとても高くなっています。
特に飲食店はブラックなイメージが強いので、最低賃金に触れない時給単価では労働者の応募すらない状況です。
だからどうしても時給を上げざるを得ません。
そうなると、結果的に人件費が高くなり、店の経営を悪くしてしまうのです。
店長の健康を蝕む、人件費の高騰と疲労の蓄積
他人を雇うと、それがコストとして店の負担になると説明しました。
しかし、売上を上げるためには、人の手を借りるしかありません。
例えばパートさんを雇ったとしましょう。
時給単価を分かり易く1000円にします。
例えば雇ったパートさんに1日6時間働いてもらったとします。
1,000円×6時間=6,000円
25日営業×6000円=150,000円
これがコストとして毎月発生してきます。
では、売上をみていきましょう。
例えば月に100万円の売上高としましょう。
原価率を45%
営業経費25万(人件費をのぞく)
*私の店の原価率、営業経費をモデルにしています。
(家賃7万、光熱費3.5万、借入金返済5万、ロイヤリティ、通信費、リース等9.5万)
粗利で550,000円
550,000-250,000=300,000円
さぁココから人経費を引いていくと・・・・。
300,000-150,000=150,000円
オーナーの取り分が150,000円となります。
(オーナー店長として営業した場合)
これじゃオーナーのモチベーションが上がりません。
なので、人件費を減らしていきましょう。
仮に1日3時間、パートさんに働いてもらったとします。
そうなると、人経費は50%削減できて、75,000円になります。
さっきの例でいうと、、、、
300,000-75,000=225,000円となります。
多少変わりましたけど、ほとんど変わりません。
もっと売上をあげるために、営業日数を2日増やしたとします。
そうすると、オーナー店長の取り分は269,000円になりました。
これで満足できるどうかはさておき、今度は店長への負担は確実に増えていきます。
なぜなら、店のオペレーション全てを、ほぼ一人でこなさいといけないからです。
当然、店長の疲労は溜まり疲れきってしまいます。
これが毎日、毎月、店を閉店するまで続いていくわけです。
それとは別に食材費の高騰があると、原価率が上がります。
原価率が上がって、売上が変わらないとオーナー店長の取り分は減ります。
それじゃ、売上をあげて儲けよう!って人を雇い入れます。
そうなると、今度は人件費が高くなってきます。
結果的に売上はあがって忙しい割には、オーナーの手元に金が残らない計算になってくるのです。
それじゃ、値上げをしたら、いいだろ!?って話になってきます。
しかし、お店は客離れが怖いので、値上げに踏み切れないのです。
人を雇うと利益を圧迫する。
店長がムリをすると、健康を悪くする。
値上げしたいけど、客離れが怖くてできない。
結果、店長がムリをするようになり、健康を悪くしてその店の存続が難しくなってしまうのです。
これが飲食店が3年以内に廃業する原因の2つ目です。
追い打ちをかける消費税納税
もうココまで読んでもらうと、いかに飲食店が厳しい業界か分かってもらえたと思います。
ですが、まだ飲食店を苦しめる要素があります。
それが消費税の納税です。
消費税を納めるかどうかは、売上高が基準になっています。
その基準になる売上高が1000万です。
1000万円を超えると、消費税の課税事業者とみなされます。
(1000万未満だと免税事業者なので、支払い義務はありません。)
例をみてみましょう。
2018年に売上高が1200万円だったとします。
そうすると、その2年後、つまり2020年から消費税の納税義務が発生してきます。
そうです、消費税の納税義務は開業から3年後なのです。
個人飲食店は常に自転車操業
私のように個人で飲食店を営業しているお店の多くが、自転車操業だと考えています。
どういう事かというと、当日の売上のお金を使って食材の仕入れ、営業経費を支払っているのです。
その売上のお金の中には、間違いなくお客さんから預かった消費税が入っています。
本来、そのお金は消費税の支払いの為に、別に積み立てをしておく事がベストです。
しかし!個人で飲食店を営業していると、その余裕がないのです。
なぜなら、オーナーが予測していた程、毎月売上があがらない事の方が多いから。
そうなると、消費税も含めた売上で、仕入れをする、経費の支払いをする、オーナーが生活費を取る。
そうしていると、消費税の納税分の積み立てができないのです。
しかし、税金の支払いは待ったなし。
絶対に逃れる事ができません。
この消費税の納税義務が、個人飲食店の経営に打撃を加えて、廃業に追い込んでいくのです。
これが飲食店が3年以内に70%近く廃業する3つ目の原因。
最後に
飲食店は、どの業種よりも厳しいことが、分かってもらえたと思います。
私の場合、フランチャイズシステムを利用しての飲食店開業です。
それでも経営状態は厳しいです。
もしこれが、0から全て自分一人で開業となると、とてもこの業界で生き残る自信はありません。
それだけ飲食業界はサバイバルが激しい。
そんな飲食業界に挑戦したい人がいたら、ぜひこの記事を読ませてあげてください。